駄文の溜まり場

最近なんでもすぐ忘れるので

映画みたやつ。さいきん。

 

 

🐳新学期走行ゼロ

 

フランスのヴィゴの中編。はじめましてのヴィゴ。昔の映画だから、退屈な部分ももちろんあるけど枕のなかの羽が散る時のハッとするような美しさと危うさと無邪気な暴力性と、それら全部含めてのとにかく美しさ。

アタランタ号」も観たけど、ヴィゴの映画は忘れなれないワンシーンがあるかたちだった。水の中にいる花嫁のカットが忘れられない。どちらも音楽がよかった!

作数があまりに少ないのはやっぱり寂しい。大好きな人と観た、尊いヴィゴ体験でした。

 

🐳束の間の愛人

ロメールのような監督、ガレルの最新作。1時間ちょいでちょうどいい。父の愛人を悪く思わない娘の気持ちがよくわかる。関係性がある中で、人を人としてちゃんと見ているのが娘なんだと思う。美人で無邪気な愛人は女性としての役割と立場を全うしてるように見える。そこから離れられない苛立ちと、自分でもコントロールできないくらいそれに支配されているのが悲しい。男はやっぱりバカだった。まじでばか。

音楽が流れ出すタイミングが、人との間にある感情や空気をそのまま形にしたようにも感じられてすごく心地よかった。ガレルの作品のなかでいちばん好きかもって思ったのはそこ。

 

🐳トラストミー

ハルハートリーで初めて見る作品。他の2作も映画館で観れて嬉しかった。どれも似てるようでちがうハルハートリーのなかでいちばん好きかもしれない。

ハートリーの映画は加速する瞬間と収束する時間の尊さを描いてると思う。それがいちばん描けるのが映画なんだとも思う。

好きな映画こそ、言葉にできない。自分との交わりが強すぎるから。この映画もいつか自分のなかで突然現れてくると思う。いま見れてよかった。

 

🐳顔たちところどころ

アニエスヴァルダのドキュメンタリー。思ってた数倍おもしろかった!

ヴァルダの可愛らしさ、観てるだけでしあわせになるかんじ。

ゴダールのエピソードはひどい。でもそこで出会うことにも出会わないことにも意味があって、会いに行くからこそ感情が生じるんだなと。ジャックが死んだ時もこうだったというヴァルダのセリフに、この映画で描かれる明るい彼女以外の膨大な時間を感じさせられてまた意味が増える。

ゴダール、カリーナ、ジャックらと過ごした別荘の夏の記憶が語られる時、目の前のスクリーンの映像よりも自分の脳内で想像する映像が映画を追い越していった体験をした。

すごく綺麗で、いい匂いで、眩しくてその誰が描く映画よりも尊い時間であったのかもしれない。JRの創作する巨大な顔のアートが語るのと同じように、膨大な時間やその人の人生を担うものがあって、それはお墓だったりアートだったり手書きのメッセージであったりする。その断片を集めることのおもしろさ。ヴァルダは生きれば生きるほど喜びを集められるひとなんだと思うと、すごく素敵だった。

 

🐳サスペリア

平行する三つのエピソード。とにかく三つ。魔女集団、社会、事件。ぜんぶを1にするのは映画全体。常に外部から聞こえる音。それが何かを繋いでる。

難しくってよくわかんないから1時間半にしてください。音楽よかった、撮影はびっくりするくらい分断される画にもったいなさも感じる。

ラストカットの、個人的な感情に収束される感じの切なさ。

 

🐳愛の島ゴトー

ボロクチフの映画。ポーランドにこんな変な人がいたなんてという驚き。好きなカットは数えきれないけど、ラストでぼとっと階段から落ちるあの落ち方が最高だった。

海での表情が忘れられない。どっからあんな感情引き出してくるの。

起こることはおもしろいし、美しいからなんとなく観てられる心地よさと息を飲むようなシーンが繰り返されるすごい作家だった。もっと観たい。