駄文の溜まり場

最近なんでもすぐ忘れるので

好きな映画③

 

 

10 月曜日のユカ/中平康

 

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オープニングから映画が終わるまで一瞬たりとも気を抜かずにおもしろいことが起こり続けて、いちいち映画の特性を最大限にだそうとする試みが行われてます。

他の映画だったらあの場面が印象的だったなってなるような一部がこの映画ではずっと続けられているというか…。

だからといって見にくさと取っつきずらさもなく軽やかな話になっているところも好きです。その軽やかさの下に引かれる空虚さが、終始ユカがいるはずなのにどこにもユカがいなかったかのような感覚にさせます。

加賀まりこの可愛さだけでも充分にいい映画。同時期の加賀まりこ出演作と比べても、これが格段によいのは中平康だからこそなんだろうけど。

 

11 ラジュテ/クリスマルケル

 

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30分程度で、全編がスチールの変なSF作品。漫画みたいだけれど、それでも確かに映画。滅多に見れるもんじゃないらしかったけど、案外みれる機会もあるみたいです。

同じ時間を生きるために死んで、そこからまた生きるというのが話の筋で、なんてことない女をふと見た瞬間が忘れることができないということがこの映画を美しくしているんです。人間にとって最も大事なもの、執着してしまうものとしてとてもしっくりくるんです。

瞬間だからこそ囚われ、瞬間をおさめたものの連続だからこそ想像ができるのだと思います。

 

12 オルエットの方へ/ジャックロジェ

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哲学の先生に勧めてもらった一本。その先生がこの世にある奇跡的な幸福を表現できるのは映画だけだと言ってた。それが詰まった映画。

意味とか、物語から解放されたところにある時間が奇跡なのかもしれない。友達とふざけあってるだけの時間とか。これ見て色んな奇跡を拾い上げて生きていきたいなって思った。哲学の先生ありがとう。

 

 

13 (フェリーニの)ローマ/フェデリコフェリーニ

 

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好きな映画監督はと聞かれた時にはエドワードヤンとフェリーニと答えます。この二人だけはどんな身近なものより自分の中に居座り、特別な存在です。

 

「ローマ」を見たのは高校一年生くらいでまだ映画を好きになったばかりでしたが運良くイタリア映画のおもしろさに早くから気づけたのでネオモアリスモらへんの作品を見たりしていました。デシーカ、ロッセリーニだとか。

そんななかでこの作品にたどり着いて、物語のない映画というか映像の羅列となぜかそれが感動につながるという不思議な映画もあるんだと知りました。そういう映画は知ればたくさんありますがわたしにとっては「ローマ」が初めてでした。

ファッションショーのシーンで、一番高揚します。意味がわからないけど感動する。感情が動くのなんてそんなもんなんだと思います。

ニーノロータの音楽がオープニングからとてもよい。ニーノロータの音楽のなかではこの映画のサントラが一番好き。

フェリーニのお金の無駄使いしてそうな豪華な映画。そんなことできたいい時代。

 

 

 

14 海辺のポーリーヌ/エリックロメール

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好きな映画監督、もうひとり答えてもいいならロメールの名前もあげたい。

映画館で3回くらい観てて、観るたびに新しく発見するとか感じ方がちがうというより自分のなかで深まっていくという方が正しいのかも。

こんな映画が撮れるの、どうなってるんだろう。ジャックロジェの奇跡と近いところにいる映画。うわー、語りつくせない!!!

ラストのポーリーヌの表情よりいい顔に未だ出会えない。

ロメールは人間の業の深さを許してあげたい、包み込んであげたいのかもしれない。一歩引いておもしろく、優しく描いてくれてる。

 

15 ざくろの色/セルゲイパラジャーノフ

 

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これは詩人サヤトノヴァの伝記ではないっていうところから笑う。

これも2.3回劇場で観てるくらい好きな映画。というより観てて心地の良い映画。夢に近い世界。ほんとに夢見てるみたいな気分になれるから、こんな体験があるんだってことを味わってほしい。半分眠いくらいでみるのがいい。無意識と有意識のあいだに連れてってくれる映画。麻薬やるってこんな感じなのかなとも思う。

でも絵画が動くみたいな画面が本当にいい。ジョージア特有の音楽もよい。

男と女のゆーっくりした動きのひとつひとつ、回転する謎のオブジェだとか飛んでくる少年、めくれる本のページ。動きに見惚れる映画。

ソ連で映画を撮り続けたパラジャーノフ社会主義だかなんだかの抑圧があるからこそこんな自由で唯一無二のものが生まれてしまうのってすごく不思議。

 

16 人魚伝説/池田敏春

 

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ずっとヒリヒリしてる。女性の力強さと綺麗さ全部が表現されてる。勢いもすごい。全編血だらけですごい!血がたくさんある映画。